-- 緊急出動発令 緊急出動発令

 鏡夜様の御友人が流水プール付近より行方不明

 詳細は不明 何らかの事件に巻き込まれた恐れあり

 捜索ターゲットは「小さめの少年!!」

 不審人物は容赦なく捕獲せよ! 繰り返す 緊急出動発令……--



「………すげーアナウンスだな…」
「そうか?普通だろう、これくらい」
「……全然普通じゃないよ…鏡夜…」








結局ゲートには戻らずに、埴之塚及び銛之塚とハルヒを探しに出たたち。

敷地内を再び駆け回りながら、聞こえてくるアナウンスの声にはげんなりした。





(流石鏡夜んとこの施設だな……隊員の数がまた半端ない)





時折捜索チームの隊員たちとすれ違い、律儀に隊員たちは鳳に敬礼して去っていく。

その繰り返しの光景に、鳳以外は揃いも揃ってため息をついた。








「ハルヒたちは大丈夫かな?」
「モリ先輩も付いてるんだ。大丈夫だろう!」
「……そういえば」
「何、どうしたの鏡夜」
「他の入場者について、隊員たちに伝えていなかった」
「「ええ?!」」
「…まあいいか」








ケロっとした顔で言ってのけた鳳に、たちは驚きの声をあげた。








「いいか、じゃないよ鏡夜!」
「そうだぞ鏡夜!もし何かあったら……」
「それは俺のせいじゃないだろう?」








そういう鳳に、確かに…と全員が納得した。



とにかく、三人を見つけるのが優先だ



そう誰かが提案すると共に、全員走るスピードを上げた。







****************







たちが言い合いをしていたその頃、銛之塚とハルヒは





ガチャ…リ…








「「!?」」

「その小さい少年を放しなさい!!」








捜索チームの隊員たちに囲まれ、銃を向けられていた。



いきなりの事に驚き、二人は固まった。

が、隊員たちが銛之塚からハルヒを引き剥がそうとした時、二人は抵抗を示した。








「ハッ?!ちょっと…?」
「もう大丈夫だ!早くこっちに!!」
「この大きいのは何者だ!」
「うわっ、抵抗するぞ!威嚇射撃、用意――」








大丈夫って何が!? ちょっ…威嚇射撃って――!!




訳が分からず、混乱したままの銛之塚

しかしハルヒを放すまいと、必死に守り銃口を変えようと銃を押さえ込む。





その時――








「崇、ハルちゃん、退いてぇえぇぇ!!」

「「!?」」








今まで行方不明になっていた埴之塚の声がし、その方向へと二人は目を向けた。

すると、ターザンの如く飛んでくる、険しい顔をした埴之塚がそこにいた。





埴之塚はその勢いのまま、二人の真後ろにいる隊員を蹴飛ばす。

地面に着地した埴之塚は、背後から来た隊員の腕を素早く掴む。



そして片足で思い切り地面を蹴り、前方へと投げ飛ばした。

投げ飛ばされた隊員は、身体を打ちつけそのまま意識を失った。








「もーー、弱いのに無茶な事しないのっ!!

 僕の仲間いじめたら、めっだよ!!めっ!








手をパンパン叩きながら言う埴之塚に、ハルヒは言葉を失う。



そこへ、さっきの音を聞きつけた環たちが駆けつける。








「ハルヒ!!無事か!?」
「「あれ?ハニー先輩?」」
「あー!たーまーちゃんvちゃーんv」
「……これ、全部ハニー先輩が?」








瞬時にハルヒに近づき、ハルヒを抱きしめる環。

その傍らで、常陸院双子が木の棒で倒れている隊員たちを突付き出す。

常陸院双子の近くで、その状況を見たは、乾いた笑い声を漏らした。








「…流石ハニー先輩」
「はー…大丈夫みたいね」
「ちょっ…どういう…!?」
「「え?お前知らないの?」」
「何を?」

「『埴之塚』って言ったら、武道の名門で有名なんだよ。」
「そうそう。それにあの人、中等部んトキ」
「空手と柔道で全国制覇してんぞ」








、光、馨の順で口々に言うと、ハルヒの身体を激震が走った。





(……ディープ……あまりにも…深い(ディープ)……)





そう思って、その場に膝をついてうな垂れる。

そんなハルヒに近づいて、は背中を撫でてやる。





(やっぱ、衝撃だよなー…俺も最初そうだったし…)





背中を撫で続けながら、苦笑する。

視線を環たちに移すと、銛之塚が埴之塚をおぶって出口に向かうところだった。



それを見て、は無気力のハルヒを立たせる。

フラフラと歩き出したハルヒに、心配そうな顔をしながら付いていく。








「「ハルヒー」」
「………なに?」
「「次は海なー、う・み!」」
「……海…?」
「「夏休み、皆で!なー、先輩?」」
「いいな、俺もさん…」
「ふん!ハルヒはそういうのに興味無いって…」

「…海なら行ってもいい…かも」
「ええ?!なんで、ハルヒ!?」
「こう…あからさまな人工物っていうのは、冷めるんですけどねー…」
「「…意味わからん…」」
「プッ…ハルヒらしー…」








出口に向かって歩きながら、会話を弾ませる。



意外なハルヒの答えに環と双子は狼狽し、は微笑んだ。

 

 

三十五話  三十七話

 

**途中コメント**
うはは、詰めるに詰め込みました!(笑)
これで鳳経営プールの話は終了です♪
次回より、次の話に入ります。

そして、リハビリ中のため、いつも以上に言葉が可笑しいですが…;;
ご了承くださいませ;;すみません…

08,07,03