「「ハルヒー、テストどうだったー?」」
「光、馨。うーん、まあまあ…かな」
「とか何とか言っちゃって」
「今回のテストも、ハルヒが一位なんだろ?」
「あはは。そうじゃないと、自分はこの学校に居られなくなるよ」
「「あ……」」
少しだけ表情を曇らせ苦笑して言うハルヒに、双子は罰が悪そうに表情を歪ませる。
それから慌てて口々に謝る双子に、ハルヒは帰り支度をしながら「良いよ。」と笑った。
帰り支度を始めたハルヒを見て、双子も自分の荷物をまとめようと動き出そうとしたその時
今までざわついていた教室が、より一層大きくざわめきだした。
中には女子生徒の黄色い悲鳴らしきものも混じっていて、双子とハルヒは顔を見合わせた。
光が何事かと、近くに居た女子生徒に聞こうとして止める。
ざわめきの中に、聞き覚えのある名前が飛び交っているのが聞こえたからだ。
[ きゃーv あれって先輩じゃありません!? ]
[ 本当ですわvv 一年の教室に何の御用なのかしら? ]
[ あ、ハルヒ君たちに用じゃ無いのかしら? ]
[ そうですわね〜あ、こっち見ましてよ! ]
[[ きゃーvv ]]
耳を澄ますと聞こえてくる女子生徒たちの会話。
再び不思議そうに顔を見合わせた三人の耳に、聞きなれた声が届いた。
「おー、三人とも揃ってるな」
「先輩」
「「ホントに来てたんだ」」
「何か言ったか?そこの双子」
「「いーえ?それよりも、わざわざ何の用?」」
声のした方に顔を向けると、ファイルを片手に微笑んでいるが近づいて来ていた。
は微笑んだまま三人の側に立つと、手にしていたファイルを馨に手渡す。
「はい、これ」
「? 何、これ?」
「何って…今度の部の衣装、お前たちに決めて貰おうかと思って」
「何々?僕らが決めちゃっていいの?」
「んまあ、正式に決めるのは鏡夜だけどな。でも一応、皆の意見は聞いとこうと思って」
パラパラ…とファイルをめくる馨の両側から、光とハルヒが馨の手元を覗き込む。
三人がファイルを眺めている間、その様子を観察していただったが、不意にポケットから携帯を取り出した。
そして開いた携帯をおもむろに耳に当てる。
「……何?鏡夜」
「「「え?」」」
突如会話し出したに、一斉にファイルから顔を上げた三人は、に視線を移す。
三人の視線に気づき、チラと三人を見て微笑みながらは会話を続ける。
「ああ、うん。うん…ん?今?光たちと居るけど?…うん、うん…はいはい、分かったってば」
数回言葉を交わして携帯を切ったが、携帯をポケットにしまいながらハルヒ達に向き直る。
そして、薄っすらとした笑みを浮かべると、拳に握った片手を腰に当てた。
「なんか良いのあった?」
「あ、まだ途中…鏡夜先輩の用、何だって?」
「ん?ああ、この後ちょっと…あ、ごめん。また電話だ」
また鳴り出した携帯をポケットから取り出しつつ、苦笑したはハルヒ達に背を向けて電話に出た。
話し出したの横顔を見ながら、ハルヒと双子は顔を見合わせた。
「……うん、じゃあ、また後で。…ごめんな、俺から尋ねて来たのに」
「いえ。あの…」
「ん?どうしたの、ハルヒ?」
「あ、やっぱり何でも無いです」
「「それよりもさー、先輩ー」」
「あ?なんだ、双子」
「「まとめるとか酷くない!?」」
「お前らがまとめて話すからだろ。いいから、用件言えよ」
電話を終えて、申し訳なさそうに言いながらは三人の方に身体の向きを戻した。
肩を組み合って、ブーイングしてくる双子を軽く睨んで黙らせて、言葉の先を促させる。
ビクっと縮み、ひそひそと顔を突き合わせて、チラチラ自分を見ながら言い合う双子にため息をつく。
双子の言葉を待ちながら、はハルヒを見下げた。
(……何か聞きたいことあったのかな)
ボーっと、双子の言動を見ているハルヒ
が何か言いたそうな視線を送っていると、それに気づいたのか、ハルヒがに視線を向けた。
「……何ですか?」
「それはこっちの台詞だよ、ハルヒ」
「は…?」
「さっき、何言いかけたんだ?」
「? …ああ、さっきはですね。」
「ん?」
「ただ単純に、自分は先輩の電話の相手を知りたかっただけです」
いつもと変わらぬ、純粋で真っ直ぐな、それでいて何を考えているのか分からないような瞳で
ハルヒは真正面から(身長差により若干上目遣い)で、を見ながらハッキリと告げた。
その言葉にはキョトン、と目を丸くした後、クス…と含み笑いをした。
「なんだ。そんなの、聞いてくれても全然良かったのに」
「すみません」
「謝ることないって。……で、そこの二人は言いたいこと決まったのか?」
「「えー?先輩、なんかハルヒと僕たちとで、態度違くないー?」
「は?そんなの当たり前だろ。俺、天邪鬼なお前たちより素直で可愛いハルヒの方が好きだもん。」
「「えーーー差別だあーー」」
「五月蝿いぞ双子」
ハルヒの頭を撫でながら、サラリと言ってのけたに双子が噛み付く。
それもサラリと聞き流して、もちろん注意するのも忘れずに、平然とはファイルを取り上げた。
「とりあえず、ここじゃ何だ。部行くよ」
「「……はーい」」
「…ったく。拗ねんなよ、光、馨。」
「「拗ねてないしー」」
「(どこがだ) 俺、お前たちもちゃんと好きだからな?」
「「え?」」
「勿論、環も鏡夜も、ハニー先輩とモリ先輩も。」
三人を引き連れて教室を出て、廊下を歩きながら顔だけ後ろの三人を振り返り笑みを浮かべる。
そのの笑顔だけで双子の機嫌は直ったとか、直ってないとか
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**途中コメント**
さて、次回は海話ですな。環とハルヒの初喧嘩♪(笑)
内容が一部、原作と変わる予定となっておりますのでご了承下さいませ。
(例えばハルヒに絡んだ男どもに主人公が制裁を加えるとか加えないとか←)
……変わるというか追加?の形になるのか…
どうなるかは分かりませんが、次回作も宜しくです♪
またまた期間が空いてリハビリ中です(苦笑)すみません;;
09,02,23