「…皆の衆。覚悟はいいか」
「「イエッサー」」
「……なんの軍隊?」








埴之塚を捜しにでた一同は、試作段階のアトラクションにより足止めを食らっていた。



ワニの後のピラニア、亜熱帯ゾーンでのスコール体験…



敷地のありとあらゆる場所を走り回った一同は、安全だと思われる場所で崩れ落ちた。





一足先に復活した環が、神妙な面持ちで一同に言う。

それに常陸院兄弟が、同じく神妙な面持ちで手にしていたウォーターガンを構えた。








「これがガーデン内の地図だ。」
「…俺たちの現在地はこの辺か?」
「多分な。で、おそらくここでハニー先輩が流れ着くと予測されるのが…」
「こことここ…この二箇所か。」
「距離にして約3キロ!!」








全員で地図を取り囲むように座り、現在地を確認する。


所々あやふやになっている場所があるが、そこは今開発中だという。








「鏡夜、開発中なのはいいけど、危険なものは止めとけよ?」
「危険なもの、とは?」
「ワニの放し飼いとかピラニアの住むプールとか…とにかく色々」
「そうか。…しかし、そのくらい危険があった方が面白くないか?」
全然面白くないから








お願いだから止めてくれ



そうは、真剣な顔で鳳に頼んだ。

それを少し面白くなさそうな顔をして、鳳はメモ用紙に書き込んだ。








「ここは効率よく二手に別れよう。モリ先輩チームとキング君チーム!!

 俺と共に行くという勇気ある人間はこの指に…って!!」

「皆、とりあえずこっちだよ。こっちに行こう」
「「行ってみよう、いってみよう」」
「何やってんの、環。置いてくよー」
「ぬ、ぬぅ!!」








やる気満々に言っていた環をよそに、他のメンバーはを筆頭にぞろぞろと移動を始めた。



一人残され、憂いオーラをかもし出している環に気づき、は環を呼んだ。

呼んで貰えたのが嬉しいのか、なんとも言えない顔をして環はの傍まで走り寄った。








「あ、モリ先輩」
「…………なんだ…」
「そっちは…って、遅かったか…」








全員で移動中、の両側に環と鳳、銛之塚の傍にはずっとハルヒがいた。



一番後ろを歩く銛之塚に視線をやった瞬間に、溝に気づいたが声をかけた。





が、時既に遅し





銛之塚は思い切り溝にはまってしまった。



は急いで銛之塚に近寄り跪いて、抜け出すのを手伝う。








「大丈夫ですか?モリ先輩」
「…………ああ」

「「ああ!モリ先輩がミゾに!!」」
「あたかも殿のようなドジを!」
「殿の如しヘマを!」
「ナヌ!?失敬な!!」
(心配なんだな…)








好き勝手言って盛り上がっているメンバーを、呆れたように見やり、は立ち上がった。



一旦その場を離れて、持っていたタオルをプールの水で濡らして戻ってくる。

再び銛之塚の傍に跪いて、足や腕に付いた泥を拭い去った。



そんな二人に常陸院たちから銛之塚と埴之塚の関係を聞き終えたハルヒは近づき、銛之塚の腕に触れた。








「モリ先輩、大丈夫ですよ?」
「……」
「ハニー先輩は無事ですよ?」
「ハルヒ?」
「意外と頑丈そうだし、おなかすいたらヤシの実もなってるし」
「……ハルヒ(どんなフォローだよ…)」








しかし、ハルヒらしいと言えばハルヒらしい言い方に、は苦笑した。



銛之塚もハルヒの言いたい事が分かったらしく、微笑んでハルヒの頭を撫でた。





その様子を見て、ショックを受ける物が一人、それを茶化すものが二人いた。





そんな最中、鳳の携帯が鳴った。

銛之塚とハルヒの傍を離れ、は鳳に近寄る。








「鏡夜、どうした?」
「ん?…ちょっと待て。ああ…そうだ。…ああ…」








どうやら電話の相手はここの指令本部の人のようだ。



それ以上何も言わずに、は鳳の傍に立ち、終わるのを待った。





(…ん?)





何気なく辺りを見回すと、人数が足りないような…



は大騒ぎしている常陸院兄弟と環を見ながら、一人不思議に思った。

そして、直ぐに気づく。








「おい、たま――」
「…。捜索チームが出動してくれるようだ。」
「あ…電話終わった?」
「ああ。だから俺たちが捜すより的確だろう?一先ずゲートに戻って待機を…って、おい?」
「…気づいた?」








携帯を胸ポケットに戻しながら、環たちに視線をやった鳳が言葉の途中で黙った。

は苦笑いをして、鳳の言葉を待った。








「環、モリ先輩とハルヒは?」
「「「!?!?!」」」
「…迷子二人追加、かな」








こつ然と姿を消した二人に、は呆れたように本日何度目か分からないため息をついた。

 

 

三十四話  三十六話

 

**途中コメント**
すっかり感覚が鈍ってる…(苦笑)
言葉が可笑しくなっているかもしれませんが、まぁ…そこは…(何)

この話は次こそ終わりです。

08,04,24