「くぉらー!このイタズラ双子!!覚悟しろぉー!!」
「「やーなこったー!」」
「そう思うならちゃんと狙ってよねー、殿ー!」
「そうそう。そんなんじゃ、いつまで経っても僕達には当てられないよー?」
「ぬぅ!」
「……あいつ等、挑発しすぎ」
白熱しているウォーターガンバトルを、当事者でありながらもは人事みたいに見ていた。
馨からの攻撃を軽やかに避け、適当に打ち返す。
先ほどからその繰り返しをしながら、はハルヒたちを見やった。
「先輩っ、隙あり!!」
「……」
「ちょっ…!先輩ひどくない!?」
「えー?何が?」
「こっち見てないくせに、なんでそんな軽々と避けれんの!?」
「あー…そういうこと」
余所見をしていたを見つけ、光が攻撃を仕掛けた。
が、はそれを見もせずに避けた。
馨が直ぐに打ったが、それもは軽々と避ける。
何回か繰り返した後になってようやく、は双子の方を向いた。
「……?何疲れてんの、お前ら。」
「「先輩…避けるの上手すぎ…っ」」
「?」
が目を向けた時、双子は両手を膝について肩で息をしながら、恨めしそうにを見てきていた。
双子とは反対に、攻撃されたにも関わらず、はウォーターガンを肩に担いで平然としている。
そんなを見て、双子は顔を見合わせると揃ってため息をついて脱力した。
((なんであんなに避けてたのに、息一つ乱れてねーんだよ!!))
う゛ー…と未だに恨めしそうに見てくる双子に、は苦笑いしつつ頭を掻いた。
「あー……悪かったな、お前ら。」
「「…本当に謝ってる?」」
「当たり前だろ。でも、お前ら、早く逃げないと危ないぞ?」
「「え?」」
息を整え終えた双子にニッコリと微笑み、は後ろを指差した。
釣られて双子も後ろを振り向く。
そこにいたのは……
「くらえ!!必殺横とびビーーム!!」
「「うわっ!」」
「…あっ!環!そっちは…っ!!」
今まで忘れ去られていた環が、ウォーターガンを構えて双子を狙っていた。
環の放った鉄砲水は、見事双子に命中。
しかし、勢いをつけすぎた環はそのまま止まる事が出来ずに、バランスを崩してプールサイドの上を転がった。
その先にある物を目ざとく見つけたは、慌てて環に駆け寄った。
が、時既に遅し。
「ぬ!?」
「環っ!!」
環の奇妙な声と共に、グシャっと嫌な音が室内に響き渡った。
は走りながら、「あっ…ちゃー…」と顔を顰めた。
後頭部を抑えて蹲る環に近づき、手を差し伸べる。
「大丈夫か?環」
「ぬぅぅ…一体何が……」
「これは一体何処のレバー…」
『に゛ゃーーー!?!?』
『わーっ!ハニー先輩!!!』
『光邦!』
『ちょっ…!モリ先輩そっちは!!』
『『逆流だぁー!!あほー!!』』
『崇ぃーー!!ちゃーん!!』
「「!?」」
の手を借り環が起き上がった直後、騒いでる声が聞こえてきた。
二人は顔を見合わせ、会話の内容から何かあったと察知すると、直ぐさま声の方へと駆け出した。
「どうしたの?!」
「あ、殿!先輩!」
「何があった?!」
「さっき環が壊したレバーが原因で、プールが故障したらしい。」
「「え!?」」
鳳の話によると、先ほど環が壊したレバーは流れるプールの操作レバーだったらしく。
それが壊れた事により制御不能となり、水量は増し、まだ泳いでいた埴之塚が波に攫われ
助けに行こうとした銛之塚が、誤って反対方向に飛び込んでしまい
物凄いスピードで二人は離れ離れになったそうだ。
「…で?ハニー先輩は行方不明、と。」
「まぁ、そういうことだ。」
「冷静に分析してる場合じゃないよ、鏡夜。どうにかできないの?」
「操作レバーが壊れているのなら、どうすることも出来ないだろう?普通に考えて」
「そうだけど……」
「くそっ、とりあえずハニー先輩を追いかける!」
「あ、ちょっと!環、待てっ!」
の静止の声も聞かずに、環は埴之塚を追いかける為に走り出した。
残りのメンバーも慌てて環を追いかける。
…が、直ぐに急ブレーキをかけて止まった。
「わーーーー!!!!」
「んなっ…?!なんでワニがこんな所に!?」
環が飛び越えようとしたプールの中には、何故か数匹のワニがいた。
大きな口を開けて、今まさに環を食べようとしている。
慌てて飛び退いてプールサイドに戻ってきた環を、は支えた。
「食われなくて良かったな…環」
「あ…あぁ…」
とにかく、気を取り直してハニー先輩を捜しに行かなければ…っ!!
鳳以外全員は、かなりの気合を入れて埴之塚捜索を開始した。
←三十三話 三十五話→
**途中コメント**
どうも。久々過ぎてストーリーの書き方を忘れてしまいました。(苦笑)
少しずつ戻していけたらな…と思います。
あと一話くらいでこの話も終わるかと。
08,03,27