「……先輩」
「何だ?」
「これは夢ですか…?夢なら即刻覚めて頂きたいんですけど…」
「…残念だけどハルヒ。これは夢じゃない。現実だよ」








今、自分がいる場所があまりにも日常とかけ離れているせいか、ハルヒは夢と現実の狭間に立っていた。



しかし、夢であるならば、何故部活の先輩が隣にいて、こうもリアルに話すことが出来ているのだろうか。



その時点で夢でないことは分かっていた。

分かってはいるのだが…………

ハルヒは認めたくない、というようにガックリと肩を落とした。



その様子を一部始終見ていたは、苦笑を浮かべた。








「ハールちゃん!!ココナツジュース飲むーー?」
「ぅわ…っ!」
「ハニー先輩…体当たりは止めてって、いつも言ってるでしょう?」
「えぇー……」
「可愛い子ぶっても駄ー目。もしハルヒが吹っ飛んで怪我でもしたらどうするの?」
「うー…分かった、気をつける」








に怒られて、シュン…と落ち込んだ埴之塚は、渋々ハルヒから離れた。

ちょっと言い過ぎたかな?とは思ったが、これくらいはいいだろう、と思い直す。

もしもの場合を考えて、間違ったことは言ってない……はず



落ち込んでいたはずの埴之塚を見ると、既に回復したらしく、元気よく銛之塚の方へと走っていってしまった。

その後ろ姿を呆然と見送る。








「…そういえば、ハルヒ」
「はい?」
「お前、双子に連れ去られる形でここに来たんだってな」
「……言わないで下さい。思い出したくないんですから…」
「あ゛ー……悪い」
先輩のせいじゃないんで、謝らないで下さい。」








話題切り替えをしたら、今度はハルヒが落ちこんだ。

遠い目をして、何か思いふけっている。



ハルヒも苦労したんだなぁ……とは苦笑した。








!ハルヒ!!」
「あ、たま……」








唐突に走ってきた環の姿を確認し、は名前を呼ぼうとして止めた。

なぜなら、環がハルヒを連れてすっ飛んでいくように、どこかへ行ってしまったからだ。



その場に取り残されたは、やれやれ…とため息をついて、一人優雅に時を過ごしている鳳の元へと向かった。








「鏡夜」
「ああ…か。どうだ?楽しんでるか?」
「まぁね。ていうか、俺、鏡夜んとこがこんなプールリゾート持ってるなんて知らなかったよ」
「ん?言ってなかったな、そういえば」
「ああ。知ってたら、毎年来てたんだけどな。」
「まぁ、ここは会員制だからな。普通は知らなくて当然だ」








ズ…とジュースを飲んだ鏡夜を、呆れた顔で見やる。

ため息をついて、鏡夜の向かいに椅子を持ってきて座った。








「…にしても、あいつらも飽きないよなー」
「ん?」
「ほら、あそこ。またやってるよ」








頬杖をつき、遠くの方でハルヒを間に言い争っている双子と環の方を指差す。

「ああ…本当だな」と鳳もの意見に賛成した。



暫くその様子を見ていると、ハルヒの背後から埴之塚が抱きついて何やら自慢を始めたのが分かった。

それが、埴之塚の身につけている浮き輪のことだということに、暫くして気づく。



確か、ハニー先輩って泳げたよな…と思いつつその光景を見ていると、鳳が愉快そうに笑った。








「鏡夜?」








突如立ち上がり、双子たちの方へと歩き出した鳳を慌てて追いかける。

何か思いついたのだろう

銛之塚の方へ走っていった埴之塚を見送っていた双子達の背後に近づき、声をかけた。








「文末に主語を入れてみたらどうだ?」
「あ、鏡夜先輩……」
「「「………」」」
「文末に主語…?環、さっきハニー先輩は何て言ったんだ?」
「ああ…確か、「だってこの方がカワイイでしょ」と……」








環が考えながら埴之塚の言葉を口に出した瞬間、その場に衝撃が走った。








『この方がカワイイでしょv僕がv』



(((計算!?!?)))








思わず、埴之塚がその台詞を言うところを想像した。



想像した途端に、その場にいた者は凍り付いてしまった。……一部を除いて



そんな環たちを知ってか知らずか、埴之塚が陽気に声をかけてきた。

埴之塚の方を一斉に見て、一同はその場で肩を落とし脱力した。



流れるプールで懸命に流れに逆らい泳いでいる銛之塚と、埴之塚がその背中に乗っているという変な光景が広がっていた。








「ねーv全然進まないのーv」
「ああ…そうですか……(だから何だというのだ…)」
「…解読不可能だな」

(何故そうまで意味不明に生きられるのか…)








その微笑ましくも取れる光景に、脱力しきっている環たちに、も同感だった。

あれで最高学年で更には学年主席なんだから、本当に不思議で仕方が無い。



苦笑していると、脱力からいち早く脱した双子が、何やら準備しているのには気づいた。

双子が手に持っていた物を環に向け、何やら発射した。








「ぬぁ!?」
「ねー殿ー、遊ぼうよ。ウォーターガンバトルv」
「僕と馨VS殿と先輩ね。顔に受けたら罰ゲームv」
「はい、これ」
「え?俺も…?」
「…ふん、だーれがそんな子供みたいな…」








光が発射したウォーターガンの水が、環の顔に見事に命中した。

濡れた顔をタオルで拭きながら、環は双子の誘いを断ろうとした。



すると、ウォーターガンをに手渡していた光が意地悪そうな顔をして、ハルヒに詰め寄った。





(嫌な予感……)





ウォーターガンを手に、は呆れた顔をした。








「ハルヒ、今すぐ結婚しよう!!熱海にハネムーンに行こう」
「…………は?」
「光ー…またそんな環を挑発するようなことして…」
「えー?いーじゃん、面白いし」
「そーそー」
「お前らな……」








二人に呆れていると、後ろでガション!と鋭い音がした。

やっぱり…と呟いて、恐る恐る後ろを振り向く。



すると、やはり双子の挑発に乗った環が、般若の形相でウォーターガンを構えていた。








「誰が貴様らなんぞの嫁にやるかーー!!行くぞ、!!」
「え…?本気…?!」
「「やーい、バカ小姑ー!」」








先に駆け出した双子を追いかけて、般若の形相のまま環も走り出した。

その際、環に腕をつかまれたもズルズルと双子を追いかける形になってしまっていた。



有り得ない、といった顔では環を見たが、その表情を見ているともう観念するしかないか、とため息をついた。







こうして、双子VS環・のウォーターガンバトルは開始された――

 

 

三十二話  三十四話→

 

**途中コメント**
何が書きたかったのか…(滝汗)
久々過ぎるホスト部のせいか、ボロボロです…
というか、また主人公のキャラが変わったような…?
そして意味不明なお話再び!て感じです(失笑)

この話は、そこまで長くならないと思いまふ。

07,8,2