「……で?結局はこうなるわけね…」
「どうしたんだ、?何か不満でもあるのか」
「別に……」

 

 

 

あの話は無駄だったか……

 

そう思わず肩を落としたくなったは、自嘲気味に笑った。

目の前には、檻に入れられた本日より環の弟子となった鷹凰子がいた。

 

は鷹凰子に諭した後、環たちに謝りに行かせた。

鷹凰子の背を押して、環たちの前に立たせる。

 

……と、そこまでは良かったのだが。

鷹凰子は謝るどころか、意地を張って喚き散らしたため、逆に環たちの反感を買ってしまったようで。

双子に捕らえられた後、いつのまに作ったのか天井から檻の柵が鷹凰子の周りに降りてきた。

そして現在に至る。

 

 

 

「何だよ、これ!出せ!!これが弟子に対する態度かよ!?」
「黙れ。子供のお遊びに付き合うほどこっちも暇じゃない。、お茶もらえるか?」
「え?あ、うん…ハイ、環」
「うむ。…そういうわけだからとっとと…」
「僕は本気だ!!!」
「「!」」

 

 

 

優雅に椅子に座ってお茶を啜りながら言った環の言葉を遮って、鷹凰子は叫んだ。

それには流石の環とも驚いた。

 

 

 

「…時間、ないんだよ…教えろよ!女喜ばす方法!!あんた、天才なんだろ?キング!?」
「!!」

 

 

 

”天才”という単語を聞いた瞬間、環の目が光った。

そしてゆっくりと椅子から立ち上がる環を見ながら、「単純なヤツ…」とは呟いた。

その言葉は当然、環には届いていない。

 

鷹凰子を檻から出す様に指示した後、檻から出た鷹凰子の前に環は仁王立ちした。

 

 

 

「ふふん。どうやら、本気らしいな…よかろう。本気であるならまずはその素材を生かす事を覚えろ」
「素材…?」
「そう、素材。つまり、おまえの場合……」

 

 

 

一息おいた環に、その場にいた誰もが注目した。

そして、そのあと環の口から飛び出した言葉に一同は様々な反応を起こした。

 

 

 

「ショタ女向け【やんちゃ系】で行くがいい!!」

(((やんちゃ系?)))
(あーあ、また始まったよ。)

 

 

 

ビシっとカッコ良く決めた環に、その場にいたほとんどの人間の頭の中に疑問符が浮かんだ。

は1人腕を組み、ため息をつきながらその光景を見遣っていた。

その横には同じく何も言わず佇んでいる鳳が居る。

 

 

 

「いいか?ショタコン女とは、低年齢層や童顔男に説明し難いトキメキを覚えてしまう女の事だ。俺の分析によれば……」
「…なー、鏡夜。」
「ん?どうしたんだ、
「今日はもうお客様に帰っていただいた方がいいんじゃないか?」
「…それもそうだな。これではもう今日は出来ないだろうし…」
「じゃ、俺はその手配をしてくるから。後は宜しく。」
「ああ。分かった。」

 

 

 

そう言ってその場を離れた

お得意様の女子生徒を発見すると、近寄った。

 

 

 

「姫。」
「あ…様。あの…皆様はどうなさったの?」
「それにあの子はどうしたんですの?あの子、初等部の子ですわよね?」
「うん、そうだよ。ごめんね?お騒がせして。あの子は本日から見習いで入っている子なんだ」
「いいえ。それにしても大変そうですわね。」
「先ほども特注のカーテンを駄目にされたとか……」
「ああ…そこまで知ってるんだ。それで、今日はもう営業できないんだ。」
「そうなんですか?少し残念のような気もしますが、今日は帰りますわ。」
「ごめんね。この埋め合わせは必ず。また明日、お待ちしております。」

 

 

 

ニッコリ微笑むと、お得意様の女子生徒と一緒に居た女子生徒は頬を染めた。

はお腹付近に手を添えて静かにお辞儀をした。

 

ドアを出て、廊下の向こうに消えて行く女子生徒たちを最後まで見送る。

完全に見えなくなったのを確認してから、部屋に戻った。

 

他のお客様にも事情を説明して、全員に帰ってもらうのにそこまで時間はかからなかった。

全員を見送り届けてから、携帯を手に取る。

そして、いつも御用達で利用している花屋に電話をし、本日来ていたお客様全員分の花束を注文する。

 

その作業を全て終えた時点で、ようやくは一息ついた。

パタン…と顧客ファイルを閉じて、先ほど注文した花束の数等をメモ用紙に走り書きする。

それをファイルに貼り付けて、鏡夜たちの所へ向かう。

 

 

 

「きょう……」
「あぁ、。終わったのか」
「……終わったけど…これ…どういうこと…?」

 

 

 

声をかけようとして、止める。

と、に気付いたのか鳳が話し掛けてきた。

それに返事をしながらも、視線は目の前の光景に釘付けのままだった。

 

 

 

「…なんで鷹凰子くんは怪我してんの?」
「それは、さっき環が指導したからだよ。」
「なんの指導したらあんな怪我するんだよ…あーあ、膝擦り剥けてるし」

 

 

 

鳳に説明を求めると、単刀直入な答えが帰って来た。

それを聞き、はため息をつくとポケットを探ってバンソウコウを取り出した。

鷹凰子の傍まで行き、膝を付いてしゃがみ込む。

驚く鷹凰子の膝にバンソウコウをペリ…と剥して貼りつけた。

 

 

 

「本当は消毒してから貼った方がいいんだろうけど…ちゃんと後でしとけよ?」
「う…うん…」
「環も。もうこんな無茶なことさせるなよな。」
「む…、しかし…」
「双子も一緒に悪乗りしない!これくらいで済んだけど、大怪我させたらどうするんだ」
「「えーー、面白かったしー」」
「面白かった、で人に怪我をさせるなよ。今度からこういうことは禁止。分かった?」
「「「…はい」」」

 

 

 

立ちあがり、環たちに釘を刺す。

大人しく頷いた三人を見て、は満足そうに頷いた。

 

 

第ニ十九話  第三十一話

 

**途中コメント**
微妙なところで次回です。
次辺りでこの話も終わるかな…?
そしてまたまた微妙に原作破りです。(笑)
いいんでしょうか…?いいんですよね…!?(コラ)

06,11,5