「…やばっ。もう始まってる。」

 

 

 

階段の途中で、聞こえて来た明るい声たち。

 

は顔を顰めると、急いで駆け上がった。

 

だんっ!と音を立てて登りきると、ぜぇはぁ言いながら部室となる音楽室の前まで歩いて行く。

途中であった女子生徒たちが急いでいたのはココに来る為か。

 

入ろうとしていた女子生徒と鉢合わせしたは微笑んだ。

 

 

 

「いらっしゃいませ、お姫様。」
「あ、様…ッ」
「どうしたの?中に入らないの?」
「あ…いえ…」
「じゃ、俺と一緒に入ろうか。」
「え…」

 

 

 

微笑んだまま片手で扉を押し開ける。

手を奥へ向かわせ、「さぁどうぞ。」と女子生徒を誘導した。

顔を赤くさせた女子生徒は、お辞儀をして中に入っていく。

 

それを見届けたも、中に入って扉を閉めた。

 

 

 

「あ、ちゃんおかえりーv」
「ただいま、ハニー先輩」

 

 

 

入って来たに気付いた埴之塚が声を掛けた。

それに笑って返して、「暑い…」と小さく呟く。

上着を脱いで腕にかけると、は鳳に近づいた。

 

 

 

 

「鏡夜」
「…。意外にゆっくりだったな。指名、来てるぞ」
「悪い。これでも急いだんだけどな。すぐ準備する。」
「分かった。早くしろよ」
「おぅ」

 

 

 

呆れたように笑って返して来た鳳の肩に触れる。

ポン、と軽く叩いては一旦奥に引っ込んだ。

 

 

 

「ん…?…なぁ、あれ、何してるんだ?」
「あれ?」

 

 

 

奥にあった椅子に上着をかけて、出てきた

指名してきた人の名前を聞こうとして、鳳の傍に近寄ろうとした時に見慣れない光景を目にした。

の問い掛けの意味が一瞬分からなかった鳳は、聞き返しながらの方を向いた。

コチラを向いて来たことを確認したは、とある方向を指差した。

鳳もそっちを見る。

 

 

 

「…あぁ、あれか。あれは、指導をしてるんだ」
「接客をサボって?」
「まぁ…最近とある庶民のドラマに嵌ってるらしくて。」
「それで感激した環が、ああしてハルヒの指導をしてるわけか。」
「あぁ」

 

 

 

鳳との視線の先では、環とハルヒが漫才の如くやりあっていた。

ハルヒがグラスをテーブルに置いた瞬間に、環が何処から出したのか分からないハリセンで叩いた。

それが何度か続いた後、環が手本を見せた。

 

それでやってみたハルヒに感動して、次に困った時のやり方を教え出す。

ハルヒが何か言ったらしく、その瞬間に環が隅っこに丸くなって落ち込んでしまった。

 

 

 

「……何やってんだか」
「さぁな。」

 

 

 

鳳と呆れたは、二人に近づいた。

近付いていくの横を埴之塚が駆けて行き、ハルヒに抱きついた。

 

 

 

「ハールちゃん!」
「ぅわっ!?」
「コラコラ、ハニー先輩。驚かしたら駄目だろ?」
「…っ!?」

 

 

 

後ろから話し掛けると、驚いたハルヒが振り向いた。

「あ、ちゃん〜」と埴之塚も声をかけてくる。

は二人に微笑むと、埴之塚をハルヒから放した。

 

 

 

「ハニー先輩。抱きつかなくても用件は言えるでしょう?」
「うん!ね、ハルちゃん。一緒にケーキ食べるー?」
「…いえ、自分は…」
「じゃー僕のうさちゃん貸したげるーv」
「いえ…うさぎも別に…」
「僕のうさちゃん、キライ?」
「え…」
「ははは。ハルヒ、君の負けみたいだな。」

 

 

 

埴之塚に言い寄られて困っているハルヒ。

その様子を見ていたは、思わず笑い出す。

 

最終的には折れたハルヒが、埴之塚からうさぎのぬいぐるみを受け取った。

 

 

 

「ん?どした?」
「あ…えと…」

 

 

 

うさぎを抱きしめて上目遣いで見てきているハルヒに気付いて、声をかけた。

言葉に詰まったハルヒを不思議に思いながら見ていると、あぁ…とは呟いた。

そして、自分を指差しながら言った。

 

 

 

「そういや、紹介がまだだったよな。俺は。クラスは2−Aだ。環たちと一緒な。」
「そうなんですか。自分は…」
「待った。藤岡ハルヒくんだよな?正確には”ちゃん”なんだろうけど」
「!!…そういえば、先輩はなんで知ってるんですか」
「んー?どうしてだろうな。」

 

 

 

そういえばそうだ。

先ほどもハルヒのことを”女の子”と言っていた。

 

追求するように見たハルヒに、は軽く交わす様に言った。

 

ムっとしたハルヒを宥めて、埴之塚を他所に追いやろうとした。

 

不満そうにして行こうとしない埴之塚にケーキを与えて、なんとか他所に行かせる。

 

嬉しそうな顔をして、銛之塚の方へ走って行った埴之塚を見届ける。

 

見届けてからはハルヒに向き直った。

 

 

 

「…なぁ」
「はい?」
「何でそんな眼鏡なんかしてんの?」
「え…?」

 

 

 

突然の問い掛けに驚いたハルヒは、の顔を見た。

真剣な表情をしていたは、一瞬のうちにいつもの締まりのない笑顔を浮かべた。

 

頭の後ろで腕を組んで、伸びをする。

 

 

 

「ま、そんなこと関係ないか」
「?」
「気にすんなよ。」
「はあ…」

 

 

 

イマイチ納得がいかなかったハルヒだが、環に呼ばれていることに気付くとそっちに行ってしまう。

 

「いってらっしゃーい」と見送ったに、鳳の声が耳に届いた。

 

近寄ってきた鳳に言われ、ようやく自分のすべき事をは思い出した。

 

罰の悪そうな顔をして、鳳に案内された場所まで行くと1人の女子が座っていた。

 

 

 

「ごめんね、姫。待たせちゃって…」
「いいのよ、くん。そんな事より今日も綺麗ね。」
「有難う。でも、俺的にはカッコイイの方がいいかなぁ」
「あらやだ。ごめんなさいね。」
「謝らないでいいよ。別に、嫌ではなかったしね」
「相変わらずお上手なのね、くんは」
「そう?褒め言葉として受けとっておくよ」

 

 

 

女子の横に腰掛けながら、いつものスタイルに切りかえる。

クスクス笑いながら出迎えた女子は、のお得意様であった。

 

 

 

微笑みながら話を進めて行く。

 

 

 

それから30分が経過した頃―

 

環の命令で買いだしに行っていたハルヒが戻って来た。

 

 

 

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**途中コメント**

中途半端な場所で終わらせてみる(笑)
続きはすぐにでもアップしてみせるので!!
主人公のキャラがイマイチ掴めない状態でスミマセン…っ!!
少しずつ掴めるようにしていきますので;;
てか、書いてる自分自体どんなヤツにしようか
未だ迷い中だったり…(汗)

05,11,26