「いらっしゃいませ〜v」
「姫、お待ちしておりました。」
「鏡夜ー!悪いんだけど、空いてるティーカップ持ってきてくれないー?」
「「今日はどっちが相手なろうかな?」」
「環、今日は大丈夫だよな?」
「もちろんだ、」
「ハニー先輩。指名入ったよ」
「はーい♪いこ、崇!」
「…(コクン)」
部活の時間になった瞬間にやってきたお客様たちに、環たちは接待に応じた。
クリスマスパーティーの準備もしつつ、キチンと部活もこなしていく。
そんな日が何日も続いていたある日、1つのとある出来事が起きた。
それは、が2人の女子生徒を相手にしていた時のこと。
はいつも通りの甘い声で姫たちと会話を楽しんでいた。
そこへ、一人の女子生徒がやってきたのだ。
「失礼?そろそろ指名交替の時間だと思うのだけど…」
「え?……あ」
「今日は、くん」
突然話し掛けられて驚いたは、顔を上げた。
しかし、相手の顔を見た途端に、思わず呟く。
「今日は、春日崎さん。次の指名者は、俺なの?」
「えぇ。ご迷惑かしら?」
「いえいえ。そんなことないよ?寧ろ嬉しいよ。指名してもらえて」
「まぁ。お上手になったのね。」
「前からだよ」
ニコっと微笑んで、は言った。
の言葉に困ったような顔をして、春日崎は言った。
それには微笑んだまま続けた。
立ちあがり、春日崎の両肩に手を置いた状態で。
クスクスと手のひらを当てて春日崎は笑う。
そして、ス…と踵を少し上げて、の首に腕を回した。
かなり近い距離まで顔同士がくっつく。
「…どうしたの?」
「いいえ。これからお相手して頂く方ですもの。宜しくね」
「…of-course(もちろん)」
クスリ…と微笑まれ、も微笑み返した。
が微笑み返した後直ぐに春日崎は、回していた腕を外した。
「それじゃあ、今日は失礼するわ。くん、また明日ね。ごきげんよう」
「お待ちしてます。」
ふわっと再び笑った春日崎に、も笑った顔のまま返した。
片腕を身体の前で曲げて、一礼する。
その様子をみた春日崎は更に笑みを深くして、音楽室を去っていった。
「…ふぅ」
春日崎が完全に見えなくなったのを確認して、は頭を上げた。
んー…と腕を伸ばして伸びをしていると、ズシリ…と肩に重みがかかった。
驚いて、腕を上げたままで、重みのかかった方向を見た。
「ー」
「……どうしたの、環」
重みの原因である相手の名前を、呆れつつ呼んだ。
呼ばれた相手は、まだ部活中だというのにも関わらずだらしなく凭れ掛かってきた。
その環の行動を不思議に思い、目をパチパチさせる。
「…環?」
「……いつ手料理食べさせてくれるんだ?」
「え?………あ」
「あ…じゃないー!!!」
「ぅわっ!?環!まだ部活中なんだから静かに…っ」
環の言葉に一瞬疑問が浮かんだ。
それから、十秒も経たないうちに思いだし思わず呟くように声を出した。
その瞬間、何かが切れたように環が叫び出した。
いきなり大声を耳元で出され、は耳を抑えながら、環に言う。
何事か、と音楽室にいた全ての人が思い、環たちの方を見る。
一斉に集中した視線に耐えきらなくなったは、環の腕を掴んだ。
「ああもう!しょうがないなー。今日作ってやるから、家こいよ。」
「本当か!?」
「俺が嘘という卑怯なものをつくと思う?」
「思わないな」
「「!?」」
静かになった環に安心できたかと思うと、突然入って来た第三者の声に驚く・
声のした方向を、ほぼ同時で向いた二人。
そこには、何故か二人以外の部員の姿があった。
先頭にいるのは、先ほどの声―鳳が、呆れた顔をして腕組みをして立っていた。
その後ろに視線をやって見れば、客たちが驚いたように立ち尽くしていた。
二人は背に冷たい汗が流れるのを感じた。
「……今日はもう部活終了だな。」
「え?」
「それでいいんだろう?環」
「あ……あぁ…」
鳳は黒い笑みを向けて、有無を言わせないようにして言った。
それに逆らえる筈がなく、環はコクリと頷いた。
それを見た鳳は、客に帰ってもらうよう他の部員に指示をした。
指示を受けて、ぞろぞろ帰って行く女子生徒たち
その光景を申し訳ない気分で、は見送った。
「さーてと。では行くか!」
「何処に?」
「決まっているだろう?の家さ!」
「……俺は環だけ誘ったつもりだったんだけど…」
「「いいじゃんー。皆一緒の方が楽しいって!」」
「先輩も料理できたんですねー」
「ハルヒ」
「はい?」
何時の間にかゾロゾロと増えた奴らに、は溜息をついた。
環一人だったはずが……何故か大所帯になっている。
寧ろ、ホスト部員全員連れてきた、と言った方が正しいか…
流石に一人では作れないだろうと思ったはハルヒを呼んだ。
こちらを向いたハルヒに言う。
「今日、手伝ってくれないかな?」
「はい。いいですよ。」
「サンキュ」
笑顔で了承してくれたハルヒに、安堵する。
今宵は騒がしくなりそうだ―
**途中コメント**
次は少し原作から離れます。
主人公の家が舞台となりますー。
その次からはまたクリスマスに戻りますので。
06,2,7