「「ねー、先輩ー。」」
「…何?光、馨。」
突然押し掛けてきてクラスに居座ったままの常陸院兄弟に、2−A全員の視線が集中していた。
常陸院兄弟の座る目の前に居るは、眼鏡をかけ手元の資料に目を通したまま双子の相手をしていた。
それが面白くなかったのか、少し不機嫌そうな顔をした双子が言った。
それにもは視線を変えずに返答する。
「…あ?なんでお前等がこのクラスに居るんだ」
「「あー、殿ぉ。何、いちゃ悪いわけー?」」
「そんなことは言っていないだろう」
「それより、今のには何を話しかけても無駄だぞ」
「「えー?何で、鏡夜先輩」」
「今のアイツは集中しているからな。特に今の時間帯はな。」
部室の点検から戻って来た環と鳳は、居る筈のない双子を見て驚いた顔をした。
それに双子が反論すると、う゛…と環は何も言えなくなった。
何も言えなくなった環に代わって、クス…と笑いながら鳳が言った。
それに不思議そうな顔をした双子に、更に付け加える。
話題にあがっている当の本人は手元の資料に集中していて、全くもってコチラに気付いていない。
「…まぁ、アイツが気付くまで今日の部の予定でも話していようか」
4人の視線が集まっても気付かないほど集中しているに苦笑して、鳳は話を切り替えた。
それに環、光、馨は頷くと、その場で話を始めた。
一時うるさかったクラスは、既にいつもの通りに戻っていた。
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「………ふぅ」
暫くしてようやくは顔を上げ、壁にかけてある時計を見上げた。
―昼休み終了5分前
自分がどれだけ集中していたのか分かった途端、眼鏡を外しは周りを見渡した。
「ようやく終わったようだな」
「…あ、鏡夜。環も。おかえり」
「あぁ、ただいま。随分集中していたようだな。」
「うん。…そういえば、光と馨が来てたような気がするんだけど…」
「あの二人ならついさっき戻ったぞ」
「え?マジ?…あー、悪い事したかも」
「ま、今日の部の時にでも謝ればいいだろう。それよりも、次は移動だぞ」
「うん、それもそうだね。」
何時の間に戻ってきていたのか
自分を見下ろすように立っていた環と鳳を見つけ苦笑した。
二人の手にはすでに次の授業の教科書等が持たれていて、も鞄から教科書を取り出すと席を立ち、二人と並んで教室を出た。
Fin
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日記より抜粋。及び一部書き換え・追加
06,11,26