「…くしゅん…っ!う゛ー……」
「どうした、。風邪か?」
「んー…どうだろ?急に寒くなってきたからかな。」

 

 

 

両腕を摩りながら、は傍らの鳳を見上げた。

目の前には驚いた顔をしているホスト部員がいる。

 

「大丈夫ですか…?」と心配そうな顔をして尋ねてくるハルヒに、は微笑んで「大丈夫」と言った。

 

しかし、ハルヒは怪訝そうな顔をした。

思い出したかのように声を発し、ハルヒはポケットを探り出した。

ハルヒの行動を不思議そうに見ていると、ハルヒは目的物を掴んだらしくポケットから手を出した。

 

 

 

「先輩、これどうぞ」
「…飴?」
「はい。のど飴じゃなくて申し訳ないんですけど…美味しいですよ」
「有難う、ハルヒ」

 

 

 

差し出された手の下に手を出すと、コロン…と一つの飴が置かれた。

満面の笑みをして言ってきたハルヒに、は一瞬不思議そうな顔をして、直ぐに微笑んだ。

貰った飴の包み紙を外して、口に放り入れる。

 

…甘い、イチゴの味がした

 

 

 

「…まぁ、確かに最近寒くなってきたよな。」
「「でも先輩がくしゃみなんて珍しいねー」」
「…あのな、光、馨。俺だって人間なんだ、くしゃみくらいするよ」
「「そりゃあそーだけどー」」
「いつも笑顔で健康そのもの!って感じだからさ」
先輩は風邪なんかひかないものだと僕等思ってたし。」
「お前等……人をなんだと…」

 

 

 

「「ねー」」と顔を見合わせて言う双子に、飴を舐めていたは頭を抱えた。

 

そういうお前等は風邪ひいたことがないのか…と反対に聞き返したくなる気持ちになってくる。

 

が、それをなんとか抑えていると声がかかった。

 

 

 

「でも、用心することにこしたことはない。今日の接待は控えるといい。」
「え…でも……」
「いいよな、環?」
「あぁ!もちろんだとも!の健康が一番大切だからな!」
「鏡夜…環…」

 

 

 

戸惑いの表情で二人を見ると、鳳も環も笑顔で言葉を寄越してきた。

 

それにも笑みを浮かべ、「有難う」と口にした。

 

口の中で、甘い味の飴を転がしながら…

 

 

Fin

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日記より抜粋。及び一部書き換え・追加

06,11,26